絶景と温泉 緑島

台湾 台東 緑島に渡る(12)

「八卦楼」
「緑洲山荘」を象徴する建物が、この「八卦楼」と称される獄舎です。八卦とは、地元の人の言葉でヤシガニのことを指すのだそうです。この建物の外観がヤシガニに似ているらしいのです。「八卦楼」の中心には六角形の塔が据えられ、そこからX字を潰したように2階建ての棟が4本伸びています。その形状がヤシガニに例えられたのでしょう。4棟のハブである中心部は吹き抜けになっています。中央に監視を置くことによって効率的な刑務所運営を図るというパノプティコンの典型的な構造ですね。2階建の棟が4棟あるということは、8区画に分かれているわけです。実際に中央の吹き抜けに面して各フロアの入り口には、壱区、弐区、柒区、捌区といったように大字表記で区分が表示されており、各棟の廊下に部屋が並んでいます。収容内容によって扱い方がことなるため舎房には様々なサイズが用意されており、合計すると52室もあります。 一部の雑居房は、収容者たちが話し合っている当時の様子が人形で再現されています。「八卦楼」の裏手にはタイル張りの真水の確保のための貯水槽が残されています。「緑島人権文化園区」の総面積は約32ヘクタールもあり、「緑洲山荘」はその一部にすぎません。「緑洲山荘」を出て東隣にある「新生訓導処」にも立ち寄ります。「新生訓導処」は、政治犯として収容した人々に対して思想教育を行う施設です。「新生訓導処」の敷地を囲む壁には、国民党のスローガンがずらり。三民主義の名の下に無辜の人々が苦しめられたとしたならば、そのイデオロギーを提唱した孫文は草葉の陰で落涙していたことでしょう。

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