絶景と温泉 緑島

台湾 台東 緑島に渡る(9)

「政治犯収容所跡」
緑島観光で最も重きを置いたのは、「朝日温泉」と政治犯収容所跡の見学です。近現代史の負や陰の側面を見学することです。台湾施政下に関しては、いままで金門島の戦跡や雲林の眷村などを取り上げられてきましたが、緑島の政治犯収容所跡も以前から一度は目で見ておきたい史跡です。 第二次大戦後台湾は日本の統治下から離れます。それと入れ替わり中国大陸における国共内戦で劣勢に立たされた国民党が台湾へ逃げのび反転攻勢を目指すべく体勢を立て直そうとします。
しかし、大陸からやってきた人間(外省人)は台湾での諸々の権力を掌握する一方で、元々台湾にいた人々(本省人)は政治参加が許されず、また経済的にも不利な立場へ追いやられ外省人と本省人との間に軋轢が生じました。
腹に据えかねた内省人たちは1947年の二二八事件で外省人に対して不満を爆発、これに対して国民党政府は徹底的に弾圧、万単位に及ぶ多くの本省人が犠牲になります。それ以降台湾では1987年まで戒厳令が敷かれることになり長年に及んで恐怖政治(いわゆる白色テロ)が台湾の市民を支配し続けました。
その中、政府から目をつけられた人々は政治犯として逮捕され、絶海の孤島である緑島の収容所へ送り込まれました。1987年に戒厳令が解除された後、緑島の政治犯収容所は刑事犯(主に暴力団)を収容する監獄へと役割を変えましたが、日本の国会議員に相当する立法委員から、この緑島の監獄を歴史伝承の博物館として残していこうとする提案がなされ、2000年代に入って政府の手により保存改修工事が行われ、現在は「緑島人権文化園区」として一般に開放されています。

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