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台湾グルメで出会う香港の味 塩焗鶏特集

台湾で食す香港の塩焗鶏:客家料理「東江菜」の魅力

台湾のグルメって、本当に幅広くて奥が深い。夜市の屋台からハイレベルなレストランまで、いろんな食文化がごちゃ混ぜになっていて、食べ歩きするだけで一日が終わってしまうことも。そんな中でもちょっと珍しくて心惹かれるのが、香港や広東省から伝わった「客家料理」。中でも「塩焗鶏(エンユーガイ)」って料理が、素朴なのにやけに美味しくて…一度食べたら、ふとしたときにまた食べたくなる不思議な魅力があるんです。

東江菜とは何か?広東客家料理のルーツ

東江菜の定義と地理的背景

「東江菜(トンジアンツァイ)」って言葉、初めて聞いた人もいるかもしれません。これは、中国広東省の東江流域――主に恵州や梅州あたりで発展した客家料理のスタイルのひとつです。このあたり、昔から客家人がたくさん住んでいて、独自の文化や食の知恵が根付いているんですよね。

客家人って、歴史的に移住を繰り返してきた民族。香港はもちろん、台湾や東南アジアにも多く移り住み、行く先々で自分たちの味を大切にしてきました。そんな背景を持つ東江菜には、移民たちの暮らしや工夫がぎゅっと詰まっていて、たとえば保存が利く「塩焗鶏」みたいな料理が生まれたのも、なるほど納得って感じです。

客家料理と広東料理の違い

「え?客家料理って広東料理の一部じゃないの?」と思う人もいるかもしれませんが、これが意外と違うんです。

東江菜は基本、唐辛子みたいな強い香辛料はあまり使わず、素材の味を生かす方向。塩で旨みを引き出す技術がすごくて、食べてると「うわ、地味だけど旨っ」ってなる。素朴だけど滋味深いっていうのかな。なんというか、じんわりくるんですよ、後から。

客家人の食文化と移民の影響

台湾には多くの客家人が移り住んでいて、食文化にもめちゃくちゃ影響を与えています。特に新竹とか苗栗なんて、街を歩けば「あ、ここ客家料理の店だ」ってすぐわかるほど。

塩焗鶏も、そういう街でよく見かける料理のひとつ。市場で買ってそのまま家でビールと一緒に…なんて最高じゃないですか。地元のおばちゃんたちが作る塩焗鶏は、ちょっと塩気が強めでクセになる味。正直、台北の高級店よりこっちのほうがグッとくる。

塩焗鶏とは?その作り方と風味

塩焗鶏の基本的なレシピ

塩焗鶏(エンユーガイ)は、本当にシンプルな料理。丸鶏を塩と香辛料で包んで、時間をかけてじっくり火を通すだけ。でも、その「じっくり」がすべてを変える。

粗塩、生姜、葱、五香粉を使った下味がじんわり染み込んで、鶏肉はびっくりするくらいしっとり。皮はほんのり塩気があって、香ばしさもある。見た目は地味だけど、食べると「うわ、これやばい」ってなるやつ。こういうの、なんでか心に残るんですよね。

台湾での食べられ方とアレンジ

台湾では、スーパーのお惣菜コーナーや市場、そして客家系の食堂で塩焗鶏が気軽に手に入ります。特に台中の一部の店では、手羽先バージョンとか、骨抜きバージョンなんてのもあって、気軽につまめるのが嬉しい。

それに、台湾風にアレンジされてて、ニンニクダレや甘めの醤油を添えて出す店も。これがまた絶妙に合う。やっぱり、台湾って「調味料天国」なんですよね。ちょっとしたアレンジでグンと旨さが増すのも面白い。

健康志向にマッチする理由

この塩焗鶏、見た目のこってり感とは裏腹に、実はかなりヘルシー。油はほとんど使わないし、高たんぱく・低脂肪。食べた後も胃がもたれないし、「ちょっと体を気遣いたいな」ってときにぴったりなんですよ。

最近では「無添加」「オーガニック鶏」って謳ってるお店も増えてて、健康志向の人たちにもしっかり刺さってます。薬膳スープに入れて食べる人もいるとか。これ、体調悪いときに食べたら、ホントに沁みる。

他の東江料理と塩焗鶏の位置づけ

梅乾扣肉との比較

東江料理でよく話題に出るもう一つの名物が「梅乾扣肉(モイゴンキウギュッ)」。こっちは豚バラ肉と漬け菜を蒸して作る、どっしり系の料理。

それに比べると、塩焗鶏はかなりあっさり。でも、旨みはしっかりしてて、決して物足りないわけじゃないんです。梅乾扣肉がご飯をかきこみたくなる味なら、塩焗鶏はお酒をちびちびやりながら、ゆっくり味わいたい感じ。正反対だけど、どっちも東江菜には欠かせない存在ですね。

台湾のレストランでの定番メニュー

台湾の客家レストランでは、塩焗鶏はほぼ間違いなくメニューに載ってます。週末になると、家族連れが集まって、大皿でドーンと出された塩焗鶏をシェアしてる光景、よく見かけます。

桃園や新竹なんかでは、塩焗鶏をメインにしたコース料理を出すお店もあって、観光客にも地元の人にも大人気。まさに“みんなで食べる料理”って感じで、場の空気まであったかくなるんですよね。

現代風アレンジとデリバリーの進化

最近では、伝統にちょっと現代風のアレンジを加えた塩焗鶏も登場してます。柚子胡椒とかレモングラスで香りを足したり、真空パックで通販したり。時代とともに、ちゃんと進化してるんですよね。

フードデリバリーアプリで「塩焗鶏」って検索すると、結構ヒットするのが今の台湾らしい。忙しい毎日でも、あの味が家で楽しめるって最高じゃないですか?

まとめ
塩焗鶏は台湾で再発見された客家の宝

塩焗鶏って、ほんとに不思議な料理です。使ってる材料はめちゃくちゃシンプルなのに、食べると心に残る。なんというか、「飽きがこない」じゃなくて、「何度でも食べたい」って感じ。

香港や広東省で生まれた客家人の知恵が、台湾という新しい土地で育って、さらに多くの人に愛される料理になってるのを感じると、ちょっと胸が熱くなるんですよね。

健康に気を使いたい人、昔ながらの味を楽しみたい人、ちょっと変わった鶏料理を探してる人…どんな人にも響く一品です。台湾に行くなら、ぜひ現地でできたての塩焗鶏を一口食べてみてください。きっと、あなたの「好きな味リスト」に仲間入りするはず。

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