フィリピンの文化

離婚制度のないフィリピンと実質婚に熟成させる

<離婚制度のないフィリピンと実質婚に熟成させる>

離婚制度のないフィリピンでは法的に結婚したまま、別の家庭を持つのもごく当たり前。結婚制度が無用の長物になる日が来るかもしれない。日本の熟年独身男性が老後のパートナーを求めて、若いフィリピーナと結婚をするケースはいまだに多い。自分より二回りや三回りも年下なら先に死ぬことはなく、しっかり介護もしてもらえるというなんとも身勝手な理屈だ。一方のフィリピーナは、日本人と結婚すれば日本に行けて、フィリピンに残された家族の生活も面倒を見ることができるというけなげな覚悟=打算で結婚に踏み切る。さらに、どうせたいして長生きもしないだろうから、いずれ晴れて自由な身になり、新しい夫を見つけてバラ色の人生を歩めるという淡い夢を見ている。お互いの目論見=打算が一致して結婚に至るが、果たしてそんな結婚生活がうまくいくのか多いに疑わしい。しかしまさに、この形式婚を2人の努力でいかに実質婚に熟成させるかが鍵だ。

<離婚制度がないフィリピン>

フィリピンには離婚という制度がない。アナルメントという「裁判官がその結婚が不当で初めから存在していないと判定した場合、婚姻を解消できる」という制度はあるが、数百万ペソ(1ペソ=約2.4円)の費用と数年の歳月を要するため、よほどのお金持ちでないと離婚はできない。だから実質的に離婚・別居している夫婦が、それぞれ別の家族を持って生活しているというややこしい夫婦がたくさんいる。一方、離婚はできないとか、夫婦の資産は共有とか、面倒な規制がある法的な結婚(形式婚)を嫌って、はなから実質婚を選ぶ傾向もある。実質婚でも家族を形成し、普通の結婚と同様の家庭生活を送り、子どももつくる。お互いの家族との交流もなんら変わるところがない。これは両者がある程度の社会的ステータスがある場合などに見られるようだ。そもそも法的な結婚とは何なのか。結婚生活が破綻して離婚という羽目になったときの離婚調停やら、夫婦の憎悪と確執はいったい何なのだろう。もともと実質婚であれば、恋人同士が別れるときのように、しばしの涙ですんでしまうだろう。

ここで参考までに、フィリピン人の結婚生活を紹介しよう。日本人からすると奇妙に思えるだろうが、これはけっして特異なケースではない。あるフィリピン人兄弟の結婚生活あれこれ 幼馴染同士で結婚し、3人の子どもをもうけ、お互いに他の異性を知らないという。子どもたちもとても優しく聡明に育ったが、最近、長女(17歳、大学1年生)が同級生と恋に落ちた。それを次女ジェーンが徹底的に妨害し、母親は理解を示すものの、父親は次女の命を受けて反対し、見る影もないほどにやせこけてしまった。恋の相手はなかなか賢い男子だそうだが、スコーター(スラム)の極貧の子で、そんな恋は次女が将来にとって百害あって一利なしと認めないのだ。

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